もうひとつのOJT
私の知る限り、一般的にOJTというと、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを指す。
対比する言葉は、Off-JT(研修)である。
だが、同じOJTで別の言葉の略を知った。
当方が専門にしていない、組織人事関係の理論であり、上記のOJTとカテゴリとしては同じだが、
Organizational Justice theory : 組織構成理論
というものである。これは、組織論でもあるが、心理学、哲学の範囲でもありそうだ。
この理論に初めて触れたのは、ハーバードビジネスレビューの連載「世界標準の経営理論」入山章栄氏である。
公平・公正とは何かなんて考えたことない
公平や公正という言葉は、確かに周りでも良く聞く。が、定義について考えたことはあまりない。
個人的には、「平等」と「公平」は違うものとしてこれまでも扱ってきたが、公正は正義と同義で扱ってきた。
この2つの概念を私なりに理解してざっくり言うと、
- 公正:客観的な視点から正しいか否か
- 公平:主観的な視点から正しいか否か
という感じがした。誤解もあるかもしれないが。
つまり、客観的に公正さが担保されていても、公平であるとは限らない。なぜなら、公平は主観が入るから。
そして、アローの不可能性定理という数学的理論によると、世の中に完全な公平性を実現する制度は論理的に作れない、ということらしい。難しい。
全ての従業員が納得する制度はないし、評価もない
という、身もふたもない結論が残念ながら横たわっているのだが、それでもなお、中小企業経営者は従業員が公平さを感じるようにしなければならないのである。
入山氏はこの連載の中で、
企業に求められるのは「我々にとっての公正・公平とはこういうものだと信じる」
ということをしっかり持つべきだと主張しておられた。
絶対的な制度が作れないのであれば、企業内の風土などを自分たちで作り、企業内の公正さ、公平さを定義づけようということだろう。
公平さを従業員に感じてもらうために
私がこの連載の記事から読み取ったのは、次のとおりである。
- 経営者らと従業員の間で、公平さを定義づけて共有する必要があること。
- 公平感を高めるため、被評価側も評価に参加できる仕組みを作り、一貫性を持ち、正確な情報に基づいて偏りなく手続を進めること。
- 被評価側を評価側がていねいに扱い、敬意を持って接すること
- 評価結果について、適切な情報を元にどのような経過を経て、その結果になったのかを具体的に説明すること
が大切ということである。
前の2つは、制度上の課題だろう。明確な評価軸とそれが公平であるという定義づけが、従業員と共有されている制度を作ることで解決できるだろう。一方、後者の2つは、制度というよりは「人間的な部分」にあたるため、評価者自身の訓練が必要だと感じる。
最後に
多くの中小企業の場合、入山氏が指摘する「公正、公平の社内の定義」はなされていない。いや、大手企業でもなされていないかもしれない。
その意味で、MBOのような制度設計はできているものの、それが公正、公平なのかどうか定義づけられなければ、従業員はそれぞれの公平さで制度や評価結果を判断してしまうことになる。
これは転職やモチベーションの低下を招くことになるのは間違いない。
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