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2023/06/03

返品無料は持続可能なビジネスモデルじゃない

以前から、このことは中小企業支援の現場でよく社長に話しています。

「返品無料は自分の首を絞めるだけ。または顧客が高いコストを負担しなければならないモデル」

返品無料のコストは誰が負担するか

この質問に「企業側」と答えるなら、それはまだ浅いですね。一義的には企業側でしょう。それはコストとして企業が負担するものではあります。が、それは価格に跳ね返ってきます。もし、価格をそのままにして返品無料を続ければ、企業は存続できなくなります。持続可能ではありません。

一方、返品コストを価格に反映させると、顧客は離れていく可能性が高くなりますので、企業として存続できないことになりえます。結果、持続可能ではありません。

顧客から見た公平性でもバランスが悪い

顧客の立場になってみましょう。全く返品などしない顧客は、返品を繰り返す顧客と同じコスト(価格上昇)を負担しなければならなくなります。これは公平ではありません。もし、コストを負担するなら、自分が返品するときには自分の分だけのコストを負担したい。なぜ、他の人が発生させたコストを私が負担しなければならないのか?と疑問に思う顧客は少なからずいるでしょう。

無料で返品できるということは、誰かがそのコストを負担しているわけです。公平性から見れば、返品する人がコスト負担をするべきと私は考えます。

騙されたと思う顧客もいるかもしれない

「返品無料」を前面に押し出してネットショップを運営していた企業は今後、顧客からの信頼を失うかもしれません。「返品無料って言ってたのに、有料に変わった!」となれば、離反する顧客は多数いるでしょう。特に、そういうサイトでは。顧客情報だけ取られて、騙された!と思う顧客もいるかもしれません。

他方、返品無料など気にも留めない顧客はどうでしょうか。返品無料以外の利便性に利点を感じているなら、返品無料の影響は別に受けないでしょう。とすると、返品無料を有料に変換するとき、他の利便性がどの程度あるかによって、そのネットショップの将来は決まるのかもしれません。

たった一つの利便性では危険がある

そう考えると、「たった一つの利便性では危険がある」ことになります。そこでしか買えないとか、限定品だとかというのは利点ではありますが、その商品の人気がなくなったとたん、破綻します。底を作ってくれる「定番品」が欲しいところです。

返品無料もそれだけだと持続不可能になった時代。別の利便性がなければ、きっと終わってしまいますね。

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