要求定義工程で結ばれる「準委任契約」の変更点
要求定義工程では、通常、「準委任契約」が結ばれます。これまでの民法では「完成責任がない」履行割合型という形態でした。きちんと時間を使って働いたことが証明できれば、請求できるという契約です。
つまり、要求定義工程は「未完成のまま」終わることもできたということです。実際、要求定義という工程は「無」から「有」を作り出す部分がありますので、一体どのくらいの時間がかかるのか、完成とはなにかというのがわかりにくい工程でもあるため、準委任契約が適切とも言えます。
が、2020年4月に施行される民法改正でこの準委任契約に変更があります。
具体的には「準委任契約」に「成果完成型」と呼ばれる形態が追加されるようです。私は弁護士ではありませんので、細かなところまではなんとも言えないのですが、これまで聞きかじった情報によると、
「請負契約のような完成責任までは問われないケースもあろうが、全く仕事が進んでいないというような状況ではまずい」
というもののようです。雑誌の記事などを見ると「請負契約と準委任契約の境はなくなった」というようなものまでありますが、そこは違うような気がします。同じなら、準委任契約の「成果完成型」なんて法的に決めなくて良いでしょうから。
しばらくは混乱がありそうな気もしますが、いずれにしても要求定義は準委任契約で結ぶのが適切であることに変わりはないでしょう。
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