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2019/07/05

敬意を表すことは、お金がなくてもできる「人材維持」対策のひとつ

人材不足が叫ばれて、だいぶ経つ。採用できても、すぐにもっと条件の良いところが見つかれば、さっさと転職-実際には転社が多そう-してしまう。結果、育てても仕方ないという風潮になり、また人が集まらないという悪循環に陥ってしまう。

 

ましてや中小企業の場合、研修をするお金がなかったり、職場環境を整える十分なコストを掛けられなかったりすることもあるから、条件を整えるのが難しい。

 

でも、お金をかけなくてもできる人材維持対策のひとつとして、「敬意を表す」というのがある。HBRの論文を読んでみた。

 

 

■ 2つの敬意

 

その論文によると、敬意というのは2つの種類があるそうだ。難しい言葉だったので、平易に書き換えると、

 

・人間がそもそも持っているものに対する敬意
・その人が努力したりしたことによって得られる敬意

 

の2つのようだ。この2つをしっかりと表すことが大切だということ。

 

人間がそもそも持っているものに対する敬意というのは、「その人自身がかけがえのない存在であること」を意識することだろう。つまり、こちらが尊大な態度をとったり、いくら部下だからといって上司が無礼な態度を取れば、その敬意は失われる。

 

「努力を認められない」ということは、まさに後者の敬意を払っていないことになる。「期待を超える成果を上げたのに褒められない」というのは、たしかに悲しいことである。

 

 

■ 大事なのはバランスよく、敬意を表す

 

そして、経営としてはそれぞれの敬意に偏ってはいけないという。

 

そもそも持っているものに対する敬意だけを平等に表すと、チームワークはとても良くなるものの、個人としての努力をしようという方向性が弱まってしまう可能性があるとのこと。確かに、そういうことが起こりそうである。

 

一方で、努力の結果に対する敬意だけを表すると、チームメンバーがお互いに牽制しあい、場合によっては足を引っ張り合う事になりかねないとのこと。こちらも一理ある。

 

バランスよく、敬意を払う必要があるというのはそのとおりだろう。

 

私が関与していたある企業では、褒めるということを実践していないばかりか、今から考えれば、この「そもそも持っているものに対する敬意」さえ表されていなかったように思う。離職率は高く、同時に心の病に掛かる人もいたようである。そして、成果に対しては「報奨金-ボーナス」では報いていたようだが、それだけだと足りないようである。

 

HBRの論文では、報奨金よりも「上司が認めてくれること」のほうが価値が高いと考える知的労働者が多いという研究結果があるらしい。

 

 

■ 誠意を持って敬意を表す

 

褒めるという行為もそうだが、形だけだと相手にもそれが伝わってしまう。そうなると、却って逆効果だろう。口では「良いねぇ」と言っていても、普段の行動からそれが伝わってこなければ、

 

「上っ面なのね」

 

という風に判断されてしまうことはわかりきっている。心から敬意を払っていることが伝わることが重要だろう。

 

 

この論文を読んで感じたのは、「これは経営に限った話ではない」ということだ。家族の間でも、街のコミュニティでも、趣味の仲間内でも、同じことが言えそうだ。

 

以前、「上っ面の敬意を払っているんだろうな、この人は」と感じた相手を私は、やはり信頼していない。私の子どもたちももう大人である(高校生もいるが)。人間としての敬意をしっかりと私も払うべきだ。いや、成人の前から未成年でも大人は子どもの人権を考えて、敬意を払うべきなのだろう。

 

 

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